最近めっきり聞かなくなったのが「M資金詐欺」。知らない方もいらっしゃるかもしれませんね。といっても元々、そうそう表に出る性質のものではありませんが、それにしてもぱったりと途絶えてしまった印象があるのではないでしょうか。
しかし、実際はまだまだうさんくさくうごめいているのです。
特に地方都市の、資金繰りに苦しむ中小企業を相手に怪しげな話を持ち歩いている輩がいて、県警の捜査二課も神経をとがらせています。
そもそもこの「M資金」というのは何かと言うと、「マッカーサー資金」という意味です。
戦後の占領期にマッカーサーが隠匿していた巨額の資金があり、その運用のために優良な貸出先を探しているという話から始まり、最終的に「あなたの会社がそれに該当するから融資を受けてはどうか?」と持ちかけるわけです。
ただ、そのためには審査が必要で「その審査を受けるためにお金が必要」だと言われます。または「審査のためにあなたの会社の実態を知る資料と、融資を受ける念書、会社の「実印」が必要だ」と言葉巧みに持ちかけて騙し取るわけです。
審査にかかると言われて取られるお金は、せいぜい何百万程度で済みますが、念書や会社の印鑑を向こうに渡してしまったが最後、「これが闇社会に回るとたいへんなことになる」「取引銀行に知られると有利を止められるかもしれない」ということで、どんな額を払ってでも回収しなければならない事態に陥るのです。
かつては大企業でさえこのM資金詐欺に引っかかり、更にはその手口が世に知れ渡ったバブル後でさえ、あの超大企業のN社がひっかかってしまったことでも有名です。
もちろんM資金とはいえ、もうマッカーサーなんて時代でもありませんから、内容は時代に合わせて変わってきています。バブル後に増えたのは「日銀特別口座」です。「お金が有り余っている日銀が運用先を探しているが、あなたの会社でどうですか?」と持ちかける同じ手口です。
他にも「皇室特別資金」などという大変不埒なものもありました。最近では「ロスチャイルド資金」というのもあります。世界の大富豪のロスチャイルド家の資金運用という名目ですが、狙いはやはり同じ。念書や会社の実印を搾取するための口実に他なりません。
「こんなのによくだまされるなあ」と普通は思うでしょうが、資金繰りに苦しむ企業にとっては「話だけでも聞いてみようかな」という誘惑に駆られて、のめり込んでしまうようです。不況が続くとカードローン審査にも不安を感じる人が多くなりますが、そういう審査に落ちやすい人や多重債務者などを狙って「あなただけに特別のご融資を準備しました!」と言って声をかけてくるヤミ金も居ます。
お金に関する悩みは個人も会社も一緒ですから、「あなただけ特別に」なんて言われてしまうと、つい「助けてもらえるのかも…」と、話を聞いてみようと思ってしまうのでしょう。詐欺師も大会社相手にすら手を代え品を代え、徹底的に信用させるのですから、無防備な高齢老人を狙うオレオレ詐欺より、はるかに戦略的といえるかもしれませんね。
