悪いイメージの強いM&Aの「光」の要素

「M&A」という言葉を聞いた事がありますか?
ニュースでもよく聞く言葉ですが、これは「企業買収」「企業合併」のことを言います。

会社を丸ごと買い取ってしまう行為は、バブル期以前までは「乗っ取り」とか「買い占め」と言われて、蛇蝎のように嫌われていたものです。数年前には「ライブドアによるフジテレビ株買収」や、「楽天によるTBS買収」など華やかなM&Aが起こったことは記憶に新しいでしょう。

現在でも世界中でほぼ日常的に行われているこのM&Aは、大企業では「事業活動の一つ」に組み込まれています。案件さえあれば、どの会社でも抵抗感なく取り組む、そういう時代になってきているのです。

しかし、十数年前まではM&Aに対し、企業は心理的にも物理的にも大きな抵抗がありました。

当時、大きなM&Aとして話題になったのは、1989年にトヨタ系の自動車部品メーカーの小糸製作所を、アメリカの投資家ブーンピケンズが敵対的に買収しようとした案件です。このとき、小糸製作所は考えられる限りの抵抗策を打ち出して、アメリカからの圧力に対抗したものでした。

M&Aに悪いイメージがつきまとっているのは「起業家が苦労して育てて大きくした起業を、カネの力で横からかっさらって、いいとこ取りしている」ように思われるからでしょう。

確かに買ってすぐ利ざやを乗せて転売したりと、企業を「売買の道具にする」という米国流の資本主義の弊害も見受けられます。

しかし、すべてが悪というわけではありません。
有効に使うと産業のダイナミズムにつながることも多いのです。

たとえば町の個人企業の社長が、発明した有力な商品で大ヒットを出したとしましょう。
その企業はその商品単品で一定規模までは成長しますが、個人企業のままではそれ以上の成長は見込めません。

日本全体を、あるいは世界を市場とするなら、それにふさわしい企業の陣容とノウハウが必要になるわけです。販売力、開発力、展開力といった個人企業では限界のある要素を、より大きな企業に委ねる、そういう際にM&Aによって企業を丸ごと大企業に売却してしまう、という戦略が有効なのです。

M&Aの本場であるアメリカでは、そうした社会的なシステムが完成しているので、何だかんだいってもダイナミックな経済成長が続いているようです。