医療機器業界の構造について

医療機器業界について知っている人はほとんどいないと思います。この市場は日本国内で3兆3000億円、世界規模でみると20兆円はあるという巨大市場でありながら、一般的な知名度はあまりないでしょう。

それは当然で、医療機器のユーザーというのは一般の消費者(患者)ではなく、医師であり医療機関であるからです。メーカーも一般の患者に宣伝しても売上げにつながらないので、知名度を高める必要がありません。ごく一部、たとえば血圧計とか、体温計など直接消費者が使うものがありますが、ほとんどは医師対象の製品です。

もう一つの理由として、3兆3000億円の巨大市場なのは間違いないのですが、医療機器というのはきわめて分野が広く、製品が多岐にわたっているのです。

1台10億円もするような大型のMRI(磁気共鳴装置)から数百円程度の医療用テープなどまで幅広く、厚生労働省の機能区分でも714区分。製品ごとのサイズバリエーションまで含めると50~60品目もあると言われています。正確な数は把握できていません。

大きく分けて医療機器には「診断用」機器と「治療用」機器があります。
誰でも一度はかかったことがあるX線検査機器や、母胎の中の赤ちゃんのエコー写真などが診断用機器。人体を横に輪切りにして内臓を見ることができるCTやMRIといった大がかりな機器もそうです。

手術用のメスや血管に入れて治療するカテーテルなどは治療用機器。人工心臓などもこの分野に含まれます。診断用機器は日本企業も健闘していますが、治療用機器に関しては海外企業が圧倒的に強いという特徴もあります。

そして大きなポイントなのは、この業界は「新規参入のハードルが比較的低い」ことです。
もちろん最低限の企業の体制は必要ですし、保険収載を目指すならやはりハードルはありますが、技術とアイデアがあれば、小さな町工場でも参入することができるのです。

そして日本の中小企業の実力を見れば、もっともっと参入の余地は高いだろうと思います。さらに医療機器の周辺である介護機器、あるいは健康機器になれば、もっと多様な商品開発がなされていく成長市場です。行き詰まった日本経済の中でこの分野に取り組めば、意外な高成長が期待できると思います。